『WORDBOOK音と絵で覚える子供英語絵じてん』
羽鳥博愛・久埜百合・海崎百合子編三省堂
1999年3月発行,全65頁,音声CD2枚付き \2000 ISBN4-385-10860-9
『学習指導要領』に示される英語の語彙数はよく論議のもとになる。しかし英語学習者たちは,語彙を増やす有効な方法をいまだ示せないでいる。したがって,学習者はいつも自分の責任で語彙を増やさなければならない。書店には,語彙を増やすための単語帳が何種類もうずたかくつまれている。高校ではよく教師が英英辞典を薦めるが,薦められた辞典の多くは学習者のレベルを超えている場合が多く,大半は,英英辞典の定義を読んでも意味がわからないことが多い。結局単語帳と英和辞書になるのだが,この方法で覚えると,英単語の意味をかならず日本語になおして覚える習慣ができてしまう。中学校で英語を習い始めた段階から,英語を日本語に直してしまう習慣をいまの英語教育では奨励している。
このWORD BOOKでは一つのテーマごとにそれに関連したイラストがありそのそばに英単語の綴りが書いてあるだけで,日本語の意味は書いていない。たとえば,The Kitchenというページなら,kettleやbowlやpotなどのイラストと綴りがある。名詞が中心だがemptyやwashやgo shoppingなどもある。ただ,通常の絵本とは異なり,一貫するストーリーはない。しかし,子供ならたいていは知っている「赤頭巾」,「3匹のこぶ他」,「ピーターと狼」などの登場キャラクターがイラストのベースとなっている。
この本の使い方だが,小学校低学年向けということで,母親または先生が繰り返し読んで説明したり,先生が”A monkey’s playing basket ball.”と発問すると,こどもは該当キャラがのっているページを探したりする。このような活動をとおして,各ページの英語の内容を子供たちは大体理解する。つぎに付属のCDについて,くりかえす練習をするのであろう。CDは繰り返しが簡単にできるようにゆっくりした音声で吹き込まれているし,あきさせないようにマザーグースのライムが効果的に使われている。これを繰り返しCDについてよむ訓練をしていると,英語の発音に必要な技能は早く習得できるだろう。現在の中学校の指導では,教科書の文字理解に焦点があたりすぎている。その結果,文字を見ないでテープやCDの音声についていけるところまで指導していない。これではリスニングやスピーキングの技能がなかなかつかないのは仕方がないことであろう。またおどろいたことに,この本1冊で,日本の学習者が苦手とする実生活に関連する英単語が約900語も身につくようになっている。小学生がこの方法で学習してくれば,中学校の授業はかわらざるをえないだろう。