『小学生は英語が大好き』 松香洋子著
松香フォニックス研究所 1999年4月発行,全109頁,\1800 ISBN4-944152-50-7
世界的に見ると,FLES=Foreign Language in the Elementary School(小学校における外国語教育)では12歳までに概ね以下のようなことが達成されることが期待されている:(a) 簡単なあいさつや自己紹介ができる,(b) その外国語を話す子供や大人と一緒になかよく遊べる,(c) 町で外国人を道案内したり,助けたりできる,(d) 外国人をお客様として迎えることができる,(e) 外国に行ったら自分のお土産を買ったり,自分の食べ物を注文することができる。
これらの目標の多くは,中学校や高校でのコミュニケーション活動で教えている項目である。また,これらの目標は,英語や精神的なレベルから考えてみると,小学校段階ですませておくべきもので,それを高校にまで持ち越していることに,いまの日本の英語でのコミュニケーション教育が抱える問題があるのではないか。日本でも早い段階で終えるべきなのであろう。
本書は,はじめに,公立小学校の先生方および関係者の方々に対し,「この本を使って小学生に英語を教えて見ませんか?きっと「小学生本当に英語が好きなんだ」と賛同していただけると思います」とある。この稿のはじめに,体験・活動キャリキュラムの紹介をした。そのときには各担当の先生が子供たちの発達段階と興味・関心応じてカリキュラムを作ることを紹介した。ここでは,長年児童英語教育に携わってきた著者が体験等で考案した各学年の目標である。1学年:元気に歌やチャンツ,2学年:集団ゲーム,3学年:スキット,4学年:自立ゲーム,5年:クイズ(見て聞いて考える),6年:見て話す(Show and Tell)。
この目標に対して,毎月のテーマが縦割り的に決まっていることだ。例えば,5月のテーマは「自分の名前」で,1年は「名前の歌とチャンツ」,2年は「名札をつくろう」,3年は「名前を聞くジェスチャースキット」,4年は「名前伝言ゲーム」,5年は「それは誰でしょうクイズ」,6年は「自己紹介Show and Tell」と全部で72の活動が,1ページづつにイラスト,やり方,教室風景,出題例などくわしく解説されている。
FLESでは,文法や,読み,書きに重点を置いたり,外国語そのものをたくさん教えこんだりせず,子供に外国語を使う楽しみを体験させ,外国語でコミュニケーションをすることに積極的な態度を育成することに重点を置く。その方針がこれらの活動に込められている。この活動で特に良い点は,コミュニケーションに必要なテーマが毎年出てきて,それを深めていけること,Show and Tellによって日本人が比較的苦手だと言われているプレゼンテーション能力を養成しようという点である。児童英語教育をする時またはその研修会を行なう時本書は重要な資料となりうる。