比較歴史社会学研究会


社会科学理論と歴史研究の垣根を越えて、広い視野に立つ歴史・社会論の新たな議論と交流の場を作ろうと始められた研究会です。

(最終更新:2023年8月24日)


【お知らせ】

第7回 研究会
テーマ:法の類型論再考ーー寺田浩明『中国法制史』の問題提起をめぐって

日 時:2023年 10月 21日(土)13:00~:17:00(目安)
 ハイブリッド方式
  (1)対面会場:京都大学(吉田キャンパス)法経済学部本館(東棟)4階大会議室 【事前登録】
    (対面参加の方も事前登録して下さい。配付資料ダウンロードのURLが届きます)
     会場へは、東館(【地図中の5番】)寄りの外付けエレベーターで直接4階までお越し下さい。
     なおJR京都駅から大学最寄りの出町柳駅へは、JR奈良線(宇治方面)を隣の東福寺駅までご利用の上、同駅にて京阪電車(三条方面)へお乗り換え頂きますと便利です。【アクセスマップ】
  (2)Zoom会場【事前登録】

  参加を希望される方は、対面・Zoomに関わらず【事前登録】をして下さい。
  当日は会場で紙媒体の資料配付はいたしません。各自でダウンロードして頂きます。
  参加される方は各自でレジュメや資料をダウンロードの上、印刷して持参するか、タブレットやパソコン等に保存して持参してください。
  そのため対面会場で参加される方も、資料をダウンロードしていただくために、Zoomの【事前登録】を行ってください。
  登録後、(1)レジュメのダウンロードURL、(2)当日のミーティング参加に関する情報、についての確認メールが届きます。

 ※寺田浩明氏に「読まずに分かる『中国法制史』」を作成していただきました。【pdfダウンロード】
  当日は『中国法制史』(東京大学出版会)ないし「読まずに分かる『中国法制史』」(pdf)の内容を前提に議論が展開される予定です。研究会前にご一読下さいますと幸甚です。

〈プログラム〉
基調報告 寺田浩明(京都大学名誉教授・東洋文庫研究員)
       伝統中国法・伝統西洋法・近代法
コメント(1) 佐々木健(京都大学法学系)
       却下と棄却:民事訴訟と古代ローマの《法》
コメント(2) 水林彪(東京都立大学名誉教授・早稲田大学名誉教授)
       寺田浩明『中国法制史』をよむ(仮題)
コメント(3) 高橋裕(神戸大学大学院法学研究科)
       比較歴史社会学の視点から《法》をどのように捉えるか(仮題)
全体討論

【趣旨説明】
 国連憲章・世界人権宣言・二次大戦後に制定された多くの憲法が西欧近代の法観念とくに1789年人権宣言を基礎に定められたことが端的に示すように、現代世界において、公式には、西欧型の法が世界のスタンダードな規範として意識されている。わが国の「最高法規」たる日本国憲法が、国連憲章・世界人権宣言と同一の範疇に属する法であることも、自明である。故に、法文の正しい意味の確定を求める法解釈学(規範学)は、必然的に、学問的問題関心を西欧型法に集中することとなる。

 しかし、法現象を人々の法的行為のアンサンブルとして観察する基礎法学(以下、研究会での用語法を意識して法社会学と記す。狭い意味での法社会学ではなく、法史学、比較法学などを含む概念である。また、一般に社会科学とよばれる学は以下では社会学と記す)は、西欧型法に特権的地位を与えることはない。社会学という見地からは、それも一つの歴史的産物にすぎないからである。日本国憲法の運用および憲法の下にあるべき現代日本法秩序の現実が、その本来の姿から大きく逸脱する傾向のあることは周知の通りであるが、このような現実が何故に、いかにして生ずるのかという問題について、法解釈学は、性質上、無力である。人類が実際に経験してきた様々の法のあり方をそれとして認識する課題は、社会学の一分肢としての法社会学が果たさねばならない。

 おおよそ以上のような考え方にもとづいて、今年度の比較歴史社会学研究会は、「法の類型論再考ーー寺田浩明『中国法制史』の問題提起をめぐって」というタイトルを掲げ、研究会を開催することとした。寺田浩明『中国法制史』(東京大学出版会)は、伝統中国(帝政中国)法を西欧型法とは類型を異にする法であることを描くことを通じて(ルール型の西欧法に対する非ルール型の伝統中国法)、西欧型法を相対化しようとする、高度に学問的な野心的試みであり、法社会学が発展するためには、避けて通ることのできない業績の一つだからである。

 タイトルに示されるように、法文化に焦点を定めつつ、伝統中国法と近現代西欧法、さらには、後者の淵源をなす古代ローマ法を比較検討することが第1次的課題となるが、これを起点に、議論は多方面に広がっていくことが期待される。(1)法文化に限定されない文化一般の比較論への発展――現代世界における欧米と中国の対抗の根源にあるものの探究、(2)ヨーロッパの法それ自体の再検討、(3)中国および欧米から決定的ともいうべき影響を受け続けてきた日本法の過去と現在の社会学的認識、(4)以上の諸問題の解明にきわめて重要な示唆を与えるヴェーバー社会学についての批判的再検討、など。様々な専門分野の方々に参加していただき、実り多き学際的議論の場となれば、幸いである。


※対面会場でご参加下さる場合でも、資料をダウンロードしていただく必要上、必ず【事前登録】をして下さい。


 過去のテーマ・報告者一覧(敬称略)

2014年12月7日(日) 於早稲田大学 8号館B101教室
【特別企画】ヴェーバー生誕150周年記念シンポジウム:戦後日本の社会科学とマックス・ヴェーバー

 第一セッション:資本・信仰・支配への問い――ヴェーバー生誕100年シンポジウムから半世紀
 第二セッション:マックス・ヴェーバーと現代社会の理論――民主主義・福祉国家・権力
 総合討論:マックス・ヴェーバーと近代/戦後日本
   資料1:シンポジウム・ポスター(PDF)
   資料2:シンポジウム案内(PDF)
   ※ ヴェーバー研究会21(別サイト)との共催

【第1回】2015年9月19日(土) 於早稲田大学 8号館417教室
報告1:高橋裕(神戸大学)
     M.ヴェーバーの社会学における法の定位――その法概念論を手がかりに
報告2:折原浩(東京大学名誉教授)
     社会科学の「弁証法的発展」を期して――ヴェーバー比較歴史社会学とくに『宗教社会学』の研究に即して

【第2回】2016年9月18日(日) 於神戸大学梅田インテリジェントラボラトリ
テーマ:国家と人権
報告1:佐藤成基(法政大学)
     国民国家と外国人の権利――戦後ドイツの外国人政策から
報告2:佐野誠(奈良教育大学)
     ヴェーバーの『パーリア』概念と人権――ユダヤ人における国家と無国家の間

【第3回】2017年9月16日(土) 於早稲田大学 9号館第二会議室
報告1:吉田敦(千葉商科大学)
     アフリカにおける資源開発と政治的不安定性
報告2:高橋徹(中央大学)
     道徳政治の構造的次元――ニクラス・ルーマンの理論からみた現代メディア政治

【第4回】2019年9月16日(月) 於東洋大学 6205教室
報 告:著者・藤野裕子(東京女子大学)
テーマ:藤野裕子『都市と暴動の民衆史――東京・1905-1923年』を読む

【第5回】2021年9月10日(金) Zoom 開催
報 告:水林 彪(東京都立大学名誉教授・早稲田大学名誉教授)
テーマ:列島における「自然状態」から「政治社会」への移行――帝国主義的支配と支配の正当性

【第6回】2022年9月24日(土) Zoom 開催
報 告:水谷仁(名古屋経済大学)
     マックス・ヴェーバーの帝国主義論――「長い20世紀」におけるドイツ国際政治思想の矛盾
コメント 遠藤泰弘(松山大学)

報 告:中村優介(千葉商科大学)
     イギリス外務省における香港返還構想の頓挫、1941~1947年――「帝国意識」と「一国二制度」への道
コメント 小野博司(神戸大学)

報 告 水林彪(東京都立大学名誉教授・早稲田大学名誉教授)
     列島における「帝国主義」の歴史的経験

事務局:(統括)水林彪、(首都圏事務局)荒川敏彦、藤野奈津子 (関西事務局)小野博司、高橋裕、橋本直人